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食事と筋トレを淡々と記録するよ

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北方謙三の「水滸伝」は、大人の男の癒しとなり、疲れた組織人の活力となる! おすすめです!

北方水滸伝が好きだ

水滸伝 一 曙光の章 (集英社文庫)

水滸伝 一 曙光の章 (集英社文庫)

好きなんです、北方謙三の「水滸伝」が。

ハードカバーで19巻という大作です。何度か読み、引っ越しの際に処分してしまいましたが、今またiPhoneのKindleで読み始めてしまいました。

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どんな本?

中国古典の「水滸伝」のタイトルを冠していますが、北方が再構築したその物語は、ほとんど原典とは別物です。

19巻で完結しますが、続編の「楊令伝」は15巻。その続編の「岳飛伝」は連載中で、現在12巻まで出ています。

登場人物が会話して、調練(戦闘訓練)して、戦して、また会話して調練、戦、……というループで、アクセント的に、たまにうまそうな男の料理が出てきます。

単純といえば単純なんですが、これで19巻分の長大なテキストを読ませてしまうのだからさすが北方!

オッサンしか読んじゃダメ

北方謙三は、「なんだかかっこいい男の世界」を描く作家です。

もう、ものすごくかっこいい。なにやってもかっこいい。

汚れ役もかっこいい。

ある登場人物は、うんこにまみれながら自分の仕事を果たすのですが、これがもうかっこいい。

登場人物の幾人かは、癒やしようが無い心の傷を負いながら、黙々と自分の役目を果たすのですが、その生き様はもちろんかっこいい。

でもね、40歳を超えたオレにはもう、わかってしまってるのよね。

そんな「かっこいい男の世界」なんて虚構で、幻でしかない、と。

傷ついたり、汚れたりしても前に進もうとするのは当たり前のことで、誰だってそうで、それが特別かっこいいことではない。

男だけでなくて、女も傷ついて汚れているわけだしね。

しかし、だからこそ、物語を読んでいるわずかな間だけでも、「かっこいい男の世界」を味わってもいいじゃないか。

敗北の苦さや、生きていく苦痛なんかを味わってきた大人の男になら、北方水滸伝は「癒し」となるのでは、と思うのです。

反対に、そういったことをまだ知らない若者がこれを読んでしまうと、どうでしょうね。中学生の僕がこれを読んだら、北方の描く男の世界に浸る「痛い中学生」になっていたかも。

そういう意味では、若者にとっては危険な書かもしれません。

組織の理想と現実

ほとんどの人は、何らかの組織に属しています。

大人の男なら、多くの場合、自分が属する組織で最も重要なものの一つが会社で、最も苦悩が多い組織も会社でしょう。

北方は本作を、「革命の物語として書いた」と述べています。既存国家である宗という国と、革命集団である梁山泊、という対比ですね。

僕は、宗という国が会社だと感じました。組織として一応は機能しているものの、無駄が多く、権力を握るものはその力を皆のためには使おうとしない。

では梁山泊はなにかといえば、理想的な組織です。誰もが、自発的に自分の仕事をこなし、役目を果たす。これが必要だと考えたら、自分で自分の仕事を作ってしまう。「替天行道」という理想を皆で目指している。

こんな感じなので、宗の側の描写は陰惨です。読んでて憂鬱。けど、既視感がある。どこにでも、こんな組織はあるよな、と思わされる。

いっぽう、梁山泊側の描写は苛烈な戦が続いたとしても、どこか明るい。

「オレもこんな組織で働けたらなあ」

現実世界で、宗の国のような組織に属する人なら、そう思うかも。

しかし、こうも思うはずです。

「いや、オレに梁山泊で働くほどの能力があるのかな」

と。

梁山泊でリーダー的な立場に付くには、何らかの高い能力が必要です。一兵卒でさえ、入山時の面接でふるいにかけられ、厳しい調練を乗り越えて、やっと一人前になれるのです。

理想的な組織に属するなら、それなりの力が必要なのです。

宗と梁山泊。その明暗を目の当たりにした読み手には、理想的な組織に属したい、そのために己の能力を磨かなければ、というモチベーションが沸いてくることでしょう。

最後に

そういった難しいことはおいといて、とてもおもしろいのでおすすめです!